こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

戦略的にギブする。ギブアンドテイクではなく、ギブギブギブ

名門Whartonビジネススクール教授であるAdam Grant氏著の「Give and Take」を読みました。

内容を一言でいいますと、「成功するのはテイクする人ではなく、ギブする人」だということになります。

こむつまは英語の勉強のために読みましたが、爽快な内容であり、かつ、「戦略的にギブする」ための方法論も書いてあり、中々楽しく読めました。

 

Give and Take: A Revolutionary Approach to Success (English Edition)

Give and Take: A Revolutionary Approach to Success (English Edition)

 

  

本書では、まず世の中の人を3つのタイプに分けます。

  • Taker (テイカー):私欲のためにテイクを重視する人
  • Matcher (マッチャー):相手が何かしてくれるなら、自分も同じだけ返そうと考える人
  • Giver (ギバー):常に相手のことを優先的に考え、自分の持てる資源を与える人

となります。

 

いわゆる成功をしているのはどのタイプの人か?という研究結果では、「一番成功していないのギバーであった」とのこと。

これは、テイカーに搾取された結果であろうということが想像できます。

 

ですが、私欲を満たすことに積極的なテイカーが一番の成功者かというと、そうではありません。

テイカーとマッチャーは、そこそこのポジションには位置するのですが、成功はしていません。

 

なんと「一番の成功者もまたギバー」なのです。


では、なぜギブする人が成功するのでしょうか?

 

ギブする人は当然、相手から好かれますし、相手も何かの形で受けた恩を返そうとしますね。

それは、直接的に仕事を助けてくれたり、キャリアアドバイスをくれたりするだけでなく、人脈の紹介に繋がったりするわけです。

また、ギブする人には性来、「人を信じる」能力・性格があるため、人の強みを見つけ、それを引き出してあげることを得意とします。

結果として、それは組織のためになります。

 

また、テイカーが「決められたパイからより多くの取り分を奪おう」と考えるのに対し、ギバーは「パイそのものを大きくすることができれば、みんながハッピーになれる」と考え、相手と協調して働くことを目指します。

さらに、個人よりも組織を優先して考えることによって、自分が過去に下した決断であっても、誤りがあるとわかれば恥を恐れずに方針転換をする勇気があり、結果として正しい方向に進むことができるのです。

 

とても良いことばかりに見えるギバーですが、ギブする人が気をつけなければいけないこともあります。

それは、他人の手助けばかりしていると、自分の仕事が終わらなくなるということです。

パフォーマンスは低下し、結局「デキナイ人」になり下がってしまうのです。

そして、どれだけ他人や組織のために働いても、自分の仕事ではパフォーマンスが上がらないために疲れ切ってしまうという結果に。

 

さらに、ギブする人の「人を信じる」性格が裏目に出ますと、私欲を満たすことを目的にしているテイカーに目をつけられ、上手に搾取されてしまいます。

テイカーは表面上は良いことを言っていたとしても、それがフェイクであることも少なくありません。

さらにギバーは、「ギブする」ことの正しさを強く信じるあまり、「人に助けを求める」ことを苦手にもしています。

このため往々にして、「一番成功していないのは、ギバー」という事例を多く見ることになるのです。

 

で、ここからが本書の肝になります。
これまで見てきたようなギバーが陥りやすい罠を避け、「成功するギバー」になるための方法を、著者は提案してくれています。


まず、①他人のためと同じくらい、自分のために労力を割くようにしましょう。

そうすることで、自分自身のパフォーマンスも上がり、自己効力感が増し、疲れ切ってしまうことを防ぐことができます。

 

また、②人を助けるときは、細切れの時間を少しずつ費やすのではなく、まとまった時間を一度に費やすようにすることとも重要です。

これによって、他人の目にも自分の目にも見えるような成果を生み出すことが出来るからです。

 

③テイカーを避ける目を養う。

どうすれば養うことができるかと言いますと、テイカーの使う「言葉」ではなく、「行動」に注目していれば分かってくるとのこと。

どんなに良いことを言っていても、それが私欲のためである人は、その行動を見ていれば分かるからです。

 

④「No!」という勇気を持つ。

ギバーは概して、他人からの依頼を断ることが苦手ですが、「その自分の行動が家族やチームに影響する」と考えるようにすれば、必要に応じて「No」と言える勇気が出ます。


⑤効率的かつ効果的にギブする方法を考える。

例えば、キャリアのアドバイスをするために多くの人数を一人一人メンターすることも良いのですが、大事なポイントをまとめた書類を作って渡す、過去にメンターした人が次の後進をメンターするシステムにするなどして、効率化します。

これによって、より大きなインパクトを生み出すことを戦略的に考えられるようになるのです。

 

そして、最後に、⑥自分も他人に助けを求めるようにしましょう。

ギブすることはとても気分が良いことです。

ぜひ、他人にもそのように気分がよくなる機会をギブしましょう。

 

 

専業主婦にも役に立つこと満載です。

 こむつまは頑張って原著で読みましたが(2週間ほどかかりました)、翻訳版もあります。

手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

 

 

ではでは、See you later, alligator.