こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

君も「はみ出し公務員」にならないか?

円城寺雄介氏著「県庁そろそろクビですか?『はみ出し公務員』の挑戦」を読みました。

県庁そろそろクビですか?: 「はみ出し公務員」の挑戦 (小学館新書)

県庁そろそろクビですか?: 「はみ出し公務員」の挑戦 (小学館新書)

 

 

旦那が読んでいたので、借りたのです。

 

うちの旦那は妻から見ても、典型的な、「型にはまった公務員」なのですが、この本を読んでいたということは、「俺もはみ出したい!」と心のどこかで思っていたのかもしれません。

 

筆者は平成13年に佐賀県庁に入庁され、土木事務所や生産者支援課(農協などを監督する部署)、職員研修所、医務課などで勤務をされてきたという、一見普通の若手公務員です。

 

しかし筆者は、その高い志と深い洞察力、そして型破りな実行力を兼ね備えて地方行政にイノベーションを起こし、それを着実に根付かせてきた実績を持つ、その道では大変有名な公務員なのです。

 

現場で困っていることがあれば職務範囲外であっても寝食を忘れて取り組む情熱と解決していく能力を持つ「スーパー公務員」とでも言いましょうか(筆者自身は、県庁という組織からはみ出している「はみ出し公務員」と自称していますが)。

 

例えば、全国どこでも深刻な問題となっている救急患者のたらい回しを解決すべく、救急車にiPadを配布し、ICTを活用することで搬送可能な病院を素早く導き出すシステムを全国で初めて導入したことや、救命率向上のために大学病院などと連携して佐賀県にドクターヘリを導入する実務に尽力され、現実に、それまで長くなる一方だった救急搬送の所要時間をわずかながら短縮したことなど、素晴らしい成果を上げられています。

 


しかも筆者の素晴らしい点は、「公務員は多くの住民から預かった税金を使わせてもらって動いているのであって、ルールに縛られたお役所仕事も、本来は公務員が好き勝手しないための歯止めである」ということをきちんと自覚されていることです。

 

極端なことを言えば、失敗しても身分保障されているので責任を負うこともなく、好き勝手なことをやろうと思えばできるのが公務員なのですが、筆者はそういう悪い意味でのスーパー公務員ではないということです。


筆者が関わってきた許認可業務のような、法令に基づく羈束裁量の分野や、医療行政のように人命に係わる分野は、公務員個人の裁量が極めて限られており、複雑に絡み合った法令と、輻輳する利害関係者をうまく調整して、物事を解決に導かなくてはならないので、とても難易度の高い行政分野だと思われます。

 

この分野で多くの成果を生み出した筆者は、やはり賞賛に値しますし、本書の中には、それぞれの職場で直面した課題と、それを解決するための奮闘ぶり、そして解決に繋がった「気づき」などについてが、一職員の目線から丁寧に書かれています。

 

また、地域に役立つことを地道にやっていくことが大事であるチームワークが基礎になるが、まずは自分が動いてみることが重要である、といった、普通の公務員として職務に当たる際の心構えのようなものも満載されています。

 

うちの旦那のような現役公務員や、これから公務員を志す若い人には、大変励みになる一冊だと思います。

 

ではでは、See you later, alligator.

旦那の禁酒継続期間:46日