こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

新人ケースワーカーに読んでほしい2冊

うちの旦那はかつてケースワーカーをしていました。

っていうか皆さんは「ケースワーカー」ってご存知でしょうかね?

 

福祉事務所(または市役所の保護課)で生活保護の相談に乗ってくれ、あるいは生活保護受給者を自立させようと奮闘している、ごく普通の公務員です。

 

ですので、ケースワーカーになりたくて、福祉の現場に立ちたくて、学生時代からそういう勉強をしてきた人もいれば、これまでまったく違う部署で仕事をしていたのに、人事異動によってある日突然ケースワーカーになった人もいます。

 

旦那がケースワーカーをしていた頃も、生活保護という最後の砦にすがる人々と、国民の税金を預かる公務員との攻防がありました。

この構図は今も変わっていないでしょう。

 

旦那も、生活保護を申請し、その身分に安住してしまいそうになる人を、なんとか自立の方向へ持っていくために努力していました。

それは決してきれいごとばかりの仕事ではなかったと思います。

 

なんでこんな話をしているのかと言いますと、先日、碇井伸吾氏の「実録!熱血ケースワーカー物語」と、柴田純一氏の「プロケースワーカー100の心得」を読んだからです。

 

旦那がケースワーカーをしていた頃に読んでいた本で、本棚の奥の方に仕舞ってあったのですが、今回の熊本地震後、倒れた本棚の整理をしていたら出てきたのです。

 

まずは、「実録!熱血ケースワーカー物語」。

 

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実録! 熱血ケースワーカー物語 *3

 

 

筆者は、現在、空手道場の館長をされているそうですが、かつては一介の地方公務員、ケースワーカーでした。

その時の経験談、生活保護受給者との攻防・やりとりを、小説風に面白おかしくまとめてあり、さらっと読める良書です。

 

ヤクザやアル中が出てきたり、ゴミ屋敷が登場したりする一方、ちょっといい話もあり、現場でこんな風に頑張っている人たちがいるんだなということが分かりやすくまとめられています。

 


もう一冊、「プロケースワーカー100の心得」は、どちらかというと専門書に近く、「仕事上、必要にかられて読む本」という感じです。 

[増補版]プロケースワーカー100の心得―福祉事務所・生活保護担当員の現場でしたたかに生き抜く法

[増補版]プロケースワーカー100の心得―福祉事務所・生活保護担当員の現場でしたたかに生き抜く法

 

 

しかも、本書の「はじめに」は、以下の通り悲壮感が漂います。

仕事の範囲はますます広く深く、複雑多岐にわたるのに、職場には業務に関する技術継承もなければ、専門的な業務としての認知もない。
それどころか、ほとんどの自治体では忘れられた「3K」職場で予算も乏しく、低い労働条件の割には責任だけはしっかり個人にふりかかる仕組みになっている。
この本は唯一ケースワーカーのそんな立場を守り、期せずして配属された福祉事務所新人職員を応援するものである。
しかし、自分たちの立場を主張するためには、まず相手の権利を保障する仕組みにも精通しなければならない。
そういう複雑な状況の中で、仕事のやり方、考え方を提案し、なりより嫌にならず、落ち込まず、ケースワーカーをやってよかったと思える日々を迎えられるようにこれを利用していただければと思う。


うちの旦那もそうだったのですが、本書は、人事異動によって期せずして配属された福祉事務所(保護課)新人職員に向けて書かれています。

 

長年ケースワーカーとして業務に携わってきた筆者だからこそ分かる内容、例えば、現場の仕事の流れを踏まえた上で、どのような点に注意して仕事を進めていくべきかが、個別具体的に、きっちりと書かれています。

 

ですので、パッと見はケースワーカーのマニュアル本という感じなのですが、民間企業で働くビジネスパーソンが読んでも参考になる部分は多いと思いますね。

 

特に本書の第Ⅳ章「したたかに現場で生き抜く」ための方法なんて、福祉の現場を知らないこむつまでも、「なるほどね」と思ったのですから、どんな分野で働く人にも通用する考え方なのではないかと感じました。

 

 

それと、最近はこんな漫画もあるようですね。

読んだことないですが。

 

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

 

 

ではでは、See you later, alligator.

 

*1:幻冬舎文庫

*2:幻冬舎文庫

*3:幻冬舎文庫