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こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

「排除しない社会」とは。単線型のライフスタイルを変えることはできるのか

宮本太郎氏の著作、「生活保障-排除しない社会へ-」を読みました。

生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

 

 

筆者の現在の肩書きは中央大学教授ですが、本書が出版された2009年頃の肩書きは以下の通りです。

  • 2008年4月 北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長
  • 2009年4月 内閣官房・安心社会実現会議委員(麻生内閣)
  • 2009年10月 総務省顧問(鳩山由紀夫内閣)
  • 2009年12月 内閣府参与
  • 2010年9月 内閣官房国家戦略室・新成長戦略実現会議委員(菅内閣)
  • 2012年11月 社会保障制度改革国民会議委員

 

自民党政権時代から民主党政権時代まで、政権が変わろうとも国の会議の委員を務められており、それだけの能力があられるのだと思います。
普通は、政権が変われば委員の先生もガラポンですからね。

 

さらに、実父は日本共産党中央委員会幹部会委員長・日本共産党中央委員会議長を歴任した宮本顕治氏とのことで、経歴だけ見ても中々面白い方だなあと感じました。

 

 

では、本題へ。

 

多くの人々が生活に不安を感じ、あるいは、社会からの疎外感にとらわれるような現代社会。

本書は、多くの人々が就労でき、あるいは社会に参加できる「排除しない社会」をどう実現するのかについて論じています。

 

筆者は、日本の社会保障は、「終身雇用のサラリーマン男性で、家族構成は専業主婦の妻と子供二人」というステレオタイプをモデルに構築された、男性の稼ぎ手中心のシステムであったと定義します。

労働の非正規化が進み、女性の社会進出も進むと、このような「標準的な」モデルに当てはまらないパターンの労働者が大量に出てきました。

 

しかし、年金にしろ、医療保険にしろ、雇用保険にしろ、この現実にはまったく対応できず、ひいては国民の間で社会システムに対しての不信感が極限まで高まっているのが現代日本の姿だと言うのです。

 

では、どうすればよいのか。

 

それが、小さな政府を目指す新自由主義でなく、大きな政府である北欧型福祉社会でもない、「第3の道」である、「雇用」と「社会保障」を結びつけて考える「生活保障」という考え方です。

 

「生活保護」ではありませんよ。
「生活保障」です。

 

筆者の説く生活保障とは、今まで別々に考えられていた「雇用政策」と「福祉政策」を一体化し、労働を中心に福祉と雇用を再構築していこうという考え方です。

 

この場合の労働とは、単に生活費を稼ぐ目的ではなく、労働を通じて社会に参画し、人とつながって、その人にとっての社会の居場所を確保する、という意味づけが強くなされています。

 

人が社会とのつながりを失ってしまうのは、加齢による退職や、病気によるドロップアウト、失業などさまざまな原因がありますが、共通する課題は「居場所」をなくしてしまうことです。

「学校教育(青少年期)→労働(壮年期)→退職(老年期)」という単線型のライフスタイルがメインである日本では、往々にしてこの「居場所を失うこと」が起きてしまうのです。


筆者は、本書の副題でもある「排除しない社会」、教育、家族、加齢、失業などの4つのステージを自由に行き来できる、柔軟な雇用システムを有する社会を目指すべきであると説明します。

 

世の中に出てはじめて社会への関心とか、勉強の必要性に気づくこともありますが、そういった場合に、仕事を休んで学校に復学することができる社会。

仮に失業してしまっても、職業訓練を受けて新しい成長分野の産業に再就職できる社会。

子育てや家族の介護が必要になって休職することになっても、その間の収入が保証され、復職も簡単に出来る社会。

 

そんな社会を目指しましょうということです。

 

まあ、頭では分かるんですけどね。

実現するのが難しいわけで。

4つのステージを自由に行き来するための「橋」の役割を誰が担うのか。

行政なのか、NPOなのか。

長い道のりが待っていることでしょう。

 

いずれにせよ、これからの社会保障政策のかじ取りをする政治家や官僚の方はもちろん、すべての働く人、あるいはそれぞれの事情で労働環境から離れている人たちが、これからの社会について考える際に必ず読むべき良書であると思います。

 

ではでは、See you later, alligator.

旦那の禁酒継続期間:35日

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