こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

ドイツ人は1年に150日休んでも仕事が回るらしい。しかも成果は日本の1.5倍で

「ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか」という本を読みました。

  

筆者の熊谷徹さんはNHKで政治記者を務め、90年代からドイツで暮らしている方です。
そんな熊谷さんが紹介するドイツ人の働きぶりに関することが本書の内容。

 

ドイツでは法律で、労働者には年30日の有給休暇が与えられます。


日本は20日ですので10日も多いですし、一般労働者のほとんどは、この30日もの年休を何と100%完全に消化しているそうです。

 

日本人のこむつまとしては素朴に、

「そんなに休んで周りに迷惑がかからないの?」
と心配になりますが、ドイツでは社員はもちろん、取引先の会社やお客さんもすべてが交代で100%年休を消化するので、当たり前すぎて、そもそもそんな問題にはならないのだそうです。

 


さて、そんなドイツですが、経済は非常に好調です。


2015年3月時点での失業率は4.7%で、欧米先進国の中でもきわめて低い数値となっています。

また、GDPも2014年の実質経済成長率は1.6%で、ユーロ圏諸国平均の0.9%を大きく上回っています。
わが国に至っては、-0.1%ですから、いかにドイツの経済が好調かが分かるかと思います。

 

労働者がしっかり休むにもかかわらず、なぜこのようなことが可能なのでしょうか? 

逆に言えば、なぜたくさんの人が夜遅くまで残業して頑張っている日本は低成長のままなのでしょうか?


一言でいえば、それは「生産性」の問題です。

日本企業に関する大きな課題は、諸外国に比べて労働生産性が低いことにあります。

 

生産や流通といった経済活動で生み出す付加価値額を、投入した労働量(労働時間)で割ったものが「生産性」ですが、ほぼ全ての業種で、日本は欧米諸国を下回っているそうです。

 

日本は長時間労働が常態化しているため、要するに、分母が大きいのです。

 

日本の会社組織は、一人ひとりの社員の職務範囲が明確に決められておらず、チーム(会社、部、課など)が協力して職務に当たるスタイルが一般的です。

そのため、何よりも社内の和が重んじられ、チームへの忠誠を示すために長時間残業して一体感を維持することが、いわば組織の知恵として受け継がれてきました。

 

非常にくだらない話ですが、いかに「たくさん残業するか」「遅くまで残っているか」が職員の能力や忠誠心として評価されてきた(評価されている)のです。

 

著者もNHKの記者時代、3ヶ月間休みなく、ヨーロッパ諸国で取材を敢行していたそうですが、しかし、あるドイツ人から
「仕事は重要だが、それは自分の時間を犠牲にすることに他ならない。我々ドイツ人にとって、休暇とは、人生の中で最も重要なものである。」
と諭されたことが心に残ったそうです。

 

遵法精神や法規範意識が強いドイツ人は、法律で明確に規定されている8時間の労働時間を所与の前提条件とします。

8時間で、いかに効率よく働くか、いかに結果を出すかが命題であり、国をあげて、徹底した仕事の効率化と、分業システム構築が進められているそうです。

 

その一方で、ドイツはアメリカのような優勝劣敗、弱肉強食的な成長至上主義からも距離を置いているとのこと。

労働組合の力が非常に強いため、会社は労働者を簡単に解雇することはできず、また、生活保障や職業訓練も充実しており、労働者は経済的な弱者であって政治や社会制度に労働者の声を取り入れることもドイツ社会のコンセンサスになっているそうです。

 

このように、著者が身近に体験した出来事から、ドイツ人が理想としていることや考え方、行動様式などが解説され、それが強い経済とどうつながっているかがわかりやすく説明されています。

 

もちろん筆者は、「ドイツが良くて、日本がダメ」ということを言っているのではありません。

 

しかし、ドイツで長い年休が100%消化され、それでも高い生産性、経済的な価値を生み出し、生活がより豊かになっているという事実から学ぶべきもの、取り入れるべきものがあるのではないでしょうか。

 

近年は、「ワークライフバランス」や「女性活躍」・「一億総活躍」といったキャンペーンがはられていることからも分かる通り、日本社会は過渡期に差し掛かっています。

 

組織に忠誠を示して団結して仕事に当たっていくやり方では、これ以上高い価値を生み出すことは出来ず、社員一人ひとりの能力や意欲を高め、社員たちの多様な価値観やライフスタイルを集合させて仕事に当たっていくほうが高い付加価値やイノベーションの原動力となるのではないかと、皆薄々気づいてきたわけです。

 

日本でも、年休消化100%で、かつ利益が高い企業が今後たくさん出てくることを期待しましょう。

 

ではでは、See you later, alligator.

旦那の禁酒継続期間:22日