公務員こそマーケット感覚が求められている
本日はこちらの本のご紹介。
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちきりん氏の著作「マーケット感覚を身につけよう」です。
こむつまの旦那は公務員をしているのですが、一番近くにいるこむつまから見ても、
「公務員はマーケット(市場)から一番遠い」
というイメージがあります。
専業主婦のこむつまよりもマーケットから遠いのではないかとすら感じます。
毎日一生懸命働いているんですけどね。
限られた予算の中で、住民の幸福を最大化しなければならないという公務員の使命。
旦那自身、そのことは重々分かってはいるんだけど、どうやったら実現できるのか、どうすれば市場と向き合えるのか、マーケット感覚を身に付けるにはどうすれば良いのかが分からないということが分からず、悶々としているようです。
そもそもマーケット感覚とは何か?
本書では、「マーケット感覚」を次のように定義しています。
「商品やサービスが売買されている現場の、リアルな状況を想像できる能力。(もしくはもう少し一般化して)顧客が、市場で価値を取引する場面を、直感的に思い浮かべられる能力」
たとえば「その商品を買う人は、何に価値を感じて買っているのか? どんな価値であれば人は買いたいと思うのか? 」といったことが、リアルな取引の場を想像しながら見極められる能力のことを指します。
では、どうすればマーケット感覚を鍛えることができるのか。
本書では次の5つが挙げられています。
1.プライシング能力を身につける。
まだ市場で取引されていない価値について、独自の基準で値付けをする「プライシング能力」について。
公務員の仕事でいえば、公共料金や公共施設の利用料の料金設定になりますね。
2.インセンティブシステムを理解する。
インセンティブとは、「人が動くときの動機」です。
わかりやすい例で言えば「お金」ですが、人は必ずしもお金だけで動くわけではないことは周知の通り。
相手の性格やその場の状況といった「泥臭くて複雑な人間のインセンティブシステム」に対して深く理解することが重要です。
たとえば、行事やお祭りの協賛金集め、人口増や流出減のために行うべき対策、気持よく税金を払ってくれるような窓口対応に応用できるのではないでしょうか。
3.市場に評価される方法を学ぶ。
「組織」ではなく「市場」から選ばれるスキルを意識すること。
マーケット感覚とは「市場で取引される価値」についての洞察力なので、組織内でしか評価されない仕事によって鍛えることはできません。
公務員には耳の痛い話かと思います。
組織内で一部のキーパーソンを押さえるための「人脈力」や「根回し力」がある人が出世するという現実もあるでしょうからね。
一方で、最近はやりの「ふるさと納税」などは、まさに国内の自治体との競争であり、組織内ではなく、市場と向き合っている仕事といえるのではないでしょうか。
4.失敗と成功の関係を理解する。
特に重要なのが、「失敗」の意味を理解すること。
失敗とは「成功に不可欠なヒントを得るために」必要なもので、何かにチャレンジした場合のネガティブな結末と捉えるべきではありません。
市場に向き合い、失敗を繰り返して市場からフィードバックを得ることが、マーケット感覚を磨くことにつながります。
筆者は以下のように言います。
「自分には何の取り柄もないと思う人ほど、早めに市場に向き合い、積極的に市場から得られるフィードバックを活用しましょう。「失敗しないよう十分に準備する」とかうまくできるようになるまで勉強する」のではありません。そんなやり方では準備と勉強だけで一生が終わってしまいます」
これも本当に公務員には耳の痛い話かと思います。
そもそも役所組織は「失敗」を認めづらい(認めたくない)体質のため、学びの機会を自ら放棄しているとも言えるのではないでしょうか。
5.市場性の高い環境に身を置く
最後は「働く環境」について。
マーケット感覚を磨くためには、できるだけ市場性の高い環境で仕事をすることが重要です。
公務員という職業は法律で守られているため、市場性が低い環境と言えます。
今まではこのような「市場的でないもの」ほど、安定していると考えられていましたが、グローバル規模で市場化が進むこれからの時代では、規制や資格で守られた「非効率で非合理な分野」こそ、市場化の波を受けやすいと著者は言います。
「公務員だからクビになることもなく一生安泰。この船は絶対に沈まないから」と考えるのではなく、いつこの船が沈んでも、他の船に乗りうつれる力を身につけるという発想こそが、これからの公務員には必要でしょう。
もちろん、船が沈まないように全身全霊で仕事に打ち込まなければならないのですが・・・
なかなか学びの多い一冊でしたので、とりあえず旦那に読ませてみようと思います。
ではでは、See you later, alligator.