こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

芸術の独創性と普遍性について

掃除をしたり料理をしたりしているとき、ついつい口ずさんでしまう歌があります。

 

島崎藤村作詞、大中寅二作曲の歌唱「椰子(やし)の実」です。

 

こむつまは子供たちと一緒に毎朝Eテレで「にほんごであそぼ」を見ているのですが、そこで時々この歌が流れるのです。

 

この歌の何がそんなに良いかというと、メロディーやおおたか静流さんの歌声も素晴らしいのですが、それ以上に際立つのが歌詞。

 

島崎藤村すげえ」と単純に思います。

 

こむつまの持っている島崎藤村に関する知識としては、「破戒」や「春」、「夜明け前」といった作品を残した小説家という程度のものだったのですが、調べてみると、結構な数の詩集も発表していることが分かりました。

 

この「椰子(やし)の実」という作品は、1901年(明治34年)8月に刊行された詩集「落梅集」に収録されています。

 

名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ

 

故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)

 

旧(もと)の木は 生(お)いや茂れる
枝はなお 影をやなせる

 

われもまた 渚(なぎさ)を枕
孤身(ひとりみ)の 浮寝(うきね)の旅ぞ

 

実をとりて 胸にあつれば
新(あらた)なり 流離(りゅうり)の憂(うれい)

 

海の日の 沈むを見れば
激(たぎ)り落つ 異郷(いきょう)の涙

 

思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らん

 

皆さんはこの詩を読んで何を感じるでしょうか。

 

人それぞれ自由な捉え方があろうかと思います。

 

詩にせよ、絵画にせよ、芸術作品は、あくまでも作者「個人」の魂の姿を示し、人が理解できるかどうかなど考慮することもなく、ただ純粋に描き出されるがゆえに、そこには極端な独創性があります。

 

誰も真似できないオリジナリティ。

 

そんな独創的な存在であると考えられる芸術作品には、しかし多くの人々の共感を得、感動を与え、時代も人種も文化も超えていく普遍性を持つものも確実に存在します。

 

この「椰子(やし)の実」という作品もまさにその一つです。

 

作者である島崎藤村が、徹底的に掘り下げた「自身の奥にあるもの」が、人の魂に共通した領域に至り、それによって普遍性を得るのでしょう。

 

こういう「普遍に至る作品」がこむつまは大好きです。

 

ではでは、See you later, alligator.

 

 

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