こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

まちづくりデッドライン – 生きる場所を守り抜くための教科書

本日も読書感想文です。

 

まちづくり デッドライン

まちづくり デッドライン

 

 

こむつまは九州の地方都市に住んでいます。

 

いわゆるシャッター通りと呼ばれる駅前の衰退した街並みというのは、日本各地の地方都市における共通の課題かと思われます。

 

中心市街地がゴーストタウン化していき、まちの魅力が失われ、若年人口が東京へ流出するという、全国的に見られるこの負のスパイラルを変えるためには、どうすれば良いのでしょうか、そもそも、なぜ地方都市はこのような事態に陥ってしまったのでしょうか。

  

「生きる場所を守り抜くための教科書」とうたっているだけあって、本書では、

  • 「商店街がなぜ成長し、そして衰退してきたのか」
  • 「街中における商業を形成する不動産オーナー、商業経営者、消費者等のバリューネットワークの実態(現状把握の重要性)」
  • 「街に変革を起こしている取り組み事例とその共通要素」
  • まちづくり事業を自ら起こすためのステップ」 

を、順を追って一つ一つ解説していきます。

 

そして、本書の最大の特徴は、これらを簡潔に構造化していることにあります。

 

どのような経済原理、社会的行動原理に基づいて事象が発生しているのか、だからどういう対策を講じればこの行動原理の転換や、その枠組みの中での変革を起こせるのかについて、体系的に、かつ丁寧に説明されているので、こむつまは読んでいてどんどん惹きつけられました。

 

 

それにしても、目から鱗が落ちたのは、シャッター商店街のオーナー達は「困っていない」ということです。

 

だから必死になって空き店舗を貸すこともせずに、閉めたままにしているのかと。

 

 

まちづくりは、自治体が考える課題」という時代は終わりました。

 

既に十分なストックがあるのだから。

 

こむつまが住んでいる街もそうですが、これからの地方都市は、新しい「箱」をつくるのではなく、ストックを活かしながら、新しい「価値」を生み出していくことが重要になっていきます。

 

それを担うべきは誰なのでしょうか?

 

自治体ではありません。

街の衰退を傍観してきた地域住民でもありません。

 

やっぱり、「若者・バカ者・よそ者」ですかね。

 

そんな「まちづくり」への新たな担い手に対して、本書のイントロに記載された重要な提言を引用しておきましょう。

  

 今、「まちづくり」に取り組むのであれば、2つの危機的な限界線を意識しなければならない。①時間的な意味、②空間的な意味でのデッドライン。

 今のまちの規模を温存し、そこに再び活気を取り戻すことは非常に難しいはずだ。まち全体のうちでも、自分たちが最終的に守り抜きたいエリアはどこなのか。明確にラインを引き、その内側を守るために戦わなければならない。

 

 地方のまちは、「生きるか死ぬか」の境界線上にある。

 

ではでは、See you later, alligator.