こむつまの日記

東京から熊本に移住したごく普通の専業主婦が思い出を消費するブログです。

ハコスコ!?文系の壁—理系の対話で人間社会をとらえ直す—

養老孟司さんと活躍中の4人の理系出身者との対談集です。

 

文系の壁 (PHP新書)

文系の壁 (PHP新書)

 

 

こむつまはあまり対談本は好きではないのですが、今回何故買ったのかといえば、対談相手の一人が森博嗣さんだったからです。

 

本書の内容ですが、まず巻頭言から少し引用します。

 

対談の背景は、いわゆる理科系の思考で、文科系とされる問題を考えたらどうなるだろうか、ということだった。

理科と文科の違いなんて、べつに問題じゃない。

そう思うこともあるが、そう思わないこともある。

ではどういう場合にそれが問題になり、どういう場合には問題にならないのか。

  

直接的に文系と理系が主題としてあがってくるのは、主に最初の森博嗣さんぐらいで、後は純粋にそれぞれ専門家の方々の話を聞きつつ、養老さんがそれに対する自説を披露するといった感じです。

 

対談の相手と、対談のテーマは次の通り。

 

 

第1章 理系と文系 ― 論理と言葉

 

対談者は、工学博士で、『すべてがFになる』などの理系ミステリーで知られる作家の森博嗣さん。

 

第2章 他者の現実を実体験する技術で、人類の認知は進化する

対談者は、理研の適応知性研究チームのチームリーダーで、スマホダンボールケースで手軽にバーチャルリアリティを体験できる「ハコスコ」を販売する藤井直敬さん。

 

 第3章 「唯脳論」の先にある、なめらかな社会の可能性

 対談者は、スマートニュース株式会社の代表で、伝播投資貨幣PICSYが、未踏ソフトウェア創造事業に採択された鈴木健さん。

 

第4章 ジャーナリズムか、生き物そのものを見るか

対談者は、『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞した毎日新聞科学環境部の記者の須田桃子さん。

 

 

森博嗣さんが語る内容については、どこかで既に読んだことのある内容でした。

 

森作品を読み漁っていますから。

 

それでも十分面白いんですけどね。

 

養老さん自身は、計算機の発達で、方法論的には理系も文系も大きな違いはなくなったと考えられており、こむつまもその点については激しく同意です。

 

自然と直面するフィールド科学か、実験室に籠もる実験科学かの違いの方が大きいでしょう。

 

その他の対談者については、第2章の藤井さんの「ティシュのように配られる仮想現実」の話が面白かったです。

 

“これからバーチャルリアリティの時代が来る”といわれ続けてきましたが、これまでは一度波が来ても結局失速していきました。

 

でも、今度は本当に来ると思います。気軽に手が伸びるように、値段が極端に安いことがきっと必要だったんでしょう。

  

バーチャルリアリティの未来について、このように語る藤井さん。

 

そんな未来を実現するために作られた、ダンボール製のVRビューワーとスマホを使って、お手軽にバーチャルリアリティ体験ができる「ハコスコ」は、なんとAmazonでも販売されています。

 

 

本格的なバーチャルリアリティ装置は作り込みも必要だし非常に高額になってしまいますが、スマホのアプリをインストールしてもらい、あとは段ボールのケース「ハコスコ」を用意してそこにハメ込めばお手軽にバーチャルリアリティが体験できるという凄さ。

 

スマホを持っている方は是非試してみてください。

 

こむつまはガラケーなので体験できません。

 

今後ゲームにも搭載され、その後も確実に普及が進むと思いますが、その場合、当然我々は複数の現実を生きることになります。

 

しかし、よくよく考えると、養老さんが本書でも主張されているように、別に我々の現状だって既にそうだよねっていうことに改めて気づくのでした。

 

ではでは、See you later, alligator.